● カレー事件とスーパーブルームーン
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スーパーブルームーンというと、必ず思い出す出来事があります。
もう何年も前のことですが。
毎年夏に行っている、小中学生向けの自立のための「グロースセミナー」での出来事。
その年も、20人近い小中学生が4つのグループに分かれて北海道士幌高原でキャンプを行っていました。
3日目の夜は子どもたちがカレー作りをします。
熱心に力を合わせ、「隠し味」を自ら持参する子どももいて、、同じカレールーなのに全く違う、それにどれも本当においしいカレーが出来上がります。
大人たちは一切手出し口出しをせずに、出来上がりをただ待ちます。
キャンプ、そしてカレー作りは定番ですが、その年もどのカレーも見事な出来栄えでした。
ところが、その年は大変なことが起きてしまいました。
● おいしいカレー大賞
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大人たちは、感謝の気持ちを込めて、おいしかったカレーに一票を投じます。
どれもおいしいので、比べることはできないのですが、この時ばかりは軽いお遊び感覚で子どもたちも張り切ります。
投票の結果を発表したときに、いつもどのチームにもまんべんなく票が入るのに、どういうわけかその年は一票も入らなかったチームが出てしまったのです。
そう、一票も、です。
もちろん、そのカレーも十分においしかったのですが、チームリーダーの中学生が泣き出して、ついには、チーム全体が泣き始めてしまいました。
どうやらみんなで一生懸命に作ったのに、と責任を感じて自分を責めてしまったようなのです。
一方で大賞を取ったチームは大はしゃぎだったのですが、泣いているチームを見て、それどころではなくなってしまいました。
グロースセミナーでは、様々な「事件」が起きます。
そしてその都度、全員でそのことに向きあいます。
この時もそうでした。
ふと見ると、外に上り始めたばかりのスーパーブルームーンが高原の空に浮かんでいました。
全員外に出よう。
どんな言葉よりもどんな慰めよりも、きっと自然が何かを与えてくるだろうと感じて、ボクはそう声をかけて、子どもたちと外に出ました。
しばらくチームで話をしてごらん。と伝えると、それぞれのチームなりに何かを話し始めました。
● 気持ちを切り替えること
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しばらく泣いていたチームも、話し合いをしているうちに少しずつ落ち着いてきます。
20分ぐらいたってから、そろそろ室内に戻るよう促した途端!
そのチームが、大声をあげて斜面をゴロゴロと転がり始めたのです。
笑い声が聞こえ、全員がはしゃいでいました。
子どもたちは、大自然の中で、そして自分たちの力で、「気持ちを見事に切り替えて」いったのです。
大自然の力も借りて、気持ちを切り替えた子どもたちの様子に、心打たれたのを今でもはっきりと覚えています。
ボクたち大人が思っている以上に、子どもたちには知恵があり、成長していく力があることを教えてくれた体験でした。
都会での生活はとても便利なのですが、大切なものを見失うこともありますね。
忙しい日々の中で、たまにはふと立ち止まって、深呼吸をしながら今の自分を取り戻す時間を持てるといいですね。
2023年も残すところ4ヶ月。
大切な自分を見失わないように、大切に丁寧に生きていけるといいですね。
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