●実り
あっという間に ”秋の気配” が、と思ったのも束の間。
30度を超える日があったり台風が来たりと、相変わらず気候は変幻自在。
私たち人類はこういった試練に何万年も耐え忍びながら命をつなげてきたのですね。
私たちが直面している気候変動も人類が生存し続けていけるのかどうか、まるで誰かにテストされているような気がしてきます。
つい数年前の外出禁止のコロナ禍も、今ではそんなことがあったのがうそのように思えてしまうほど次から次にいろんなことが起きてきます。
それでも秋はボクたちにちゃんと実りを与えてくれるし、季節も廻り続けます。
本当にありがたいことです。
〜の秋、で始まる言葉はたくさんあります。
ボクは、最近はもっぱら、読書。
それも、以前読んだ長編に再チャレンジ中です。
●ファンタジー
ユング心理学の第一人者である河合隼雄氏は、大人になってから読むべき物語のジャンルにファンタジーを挙げています。ファンタジーに対するイメージは、子どもの読み物だったり、絵空事で現実味がないなどの印象があるかもしれません。
でも河合氏は「現実の方がよほど非現実的な出来事が起きている」と言っています。
確かに、信じられないような事件や事故、そして災害が起きていますからね。
ファンタジーは魔法が出てきたり、人間では到底不可能なことをやり遂げるヒーローが登場してきて、確かにそれは「非現実的」ではあるのですが、主人公がその時々で判断したり決断していることは、ボクたちの日常に間違いなく役立つものなのです。
そこで学べる大事なことの一つに「イメージする力」があります。
●見立てや置き換えの力
イメージは、目には見えない心の動きの一つです。
イメージにはふたつのタイプがあります。
目の前の出来事や物事をきっかけにして、そこからイメージを広げていくタイプ。
もう一つは「目を閉じて何もないところから空想(浮かんでくる)する」というタイプのイメージ。
いわゆる、ぼーっとしているときに浮かんでくるヤツ。
どちらも何かを何かに見立てたり、置き換えたりすることで動き始めます。
この力は、直面した問題に対しての解決の糸口を見つけるうえでとても役立ちます。
視野が狭ければその問題に跳ね返されたり、押しつぶされてしまうでしょう。
イメージの力があれば、それを何かに見立てたり、何かに置き換えることで「新しい視点」が手に入ります。
ふとしたヒラメキに助けられた体験を持っている方は、あなただけでなく他にもたくさんいるのではないですか?
この力は、子どものころに育つのですが、大人になったボクたちにこそ必要かつ不可欠な力なのです。
●3大ファンタジー
河合氏は多くの昔話や神話、そしてファンタジーを紹介していますが、その中でも3大ファンタジーとして紹介しているのが、以下の三作。
『ゲド戦記』『ナルニア国物語』そして『指輪物語』です。
『ゲド戦記』はル・グィンの作品で全5巻。
『ナルニア国物語』はC.S.ルイスの作品で全7巻。
そして『指輪物語』はJ・R・R・トールキンで3部作全6巻に加えてその背景となる神話『シルマリルの物語』。
どれもこれも大長編です。
世界の神話研究で著名なジョセフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』を参考にしたと言われているジョージ・ルーカス監督の『スターウォーズ』のシリーズも大長編作品ですね。
ジョージ・ルーカス監督は、現代の神話を作りたかったと言っていたそうです。
●その中で今は『指輪』
「物語り大好き」なボクは、いろいろと読みかじっていますが、今はトールキンの『指輪物語』を最初から読み直しています。
「指輪」にまつわる物語は、世界中に残されています。
ひと時『ニーベルンゲンの指輪』にはまっていたころもありました。
そして、昔話や童話の中にも、あまりなじみはありませんが日本の民話にも、『犬と猫の指輪』というお話もあります。
はなさかじいさんと鶴の恩返しと浦島太郎の話がごっちゃになったような、おかしなおもしろ話です。
ボクはと言えば、今まさに、後半に入る直前、フロドがゴクリ(原作はゴラム)の罠にはまって洞窟の中で怪物に呑み込まれそうになっている場面。
映画とは異なるので、場面展開は少し違うかもしれませんが、ボクは圧倒的に文字で追いかけるのが好きです。なぜかというと、映画監督やプロデューサーのイメージを見せられるのと、文字を読みながら自らイメージを広げていくのとでは全く違う体験をするからです。
先に書いた「イメージの力」はどんな方法で育ててもいいのですが、ボクは自らのイメージを大切にしていたいと感じています。
そもそも、原作を気に入って映画を見に行ったらイメージとは全く違う、なんて体験をした人は多いのではないでしょうか?
映像は映像の良さがあるので、これは好き好きなのですが、「イメージの力」を育てたいのであれば、文字で読むことをお勧めします。
●そして、アートの力
イメージを喚起する方法は、ファンタジーを読むだけじゃなく、アート表現でも同じ。
大人になったボクたちがイメージの力を育てるのはなかなか大変です。
統計やデータに追われてしまうと、現実しか見えなくなるし、それが尊重される仕事が多いのも事実です。
そこで、30年近くアートセラピーに従事してきたボク達だからこそできる新しいコンセプトのスペースを11月後半を目指して、代官山にオープンします。
その名も「アート・イン・チャット(ART in CHAT)」。
ハーブティーを飲んで、アートしてスタッフや仲間たちとおしゃべりをする、気分を一新して新しい自分に出会っていく。そんな場所です。
今日をリセットして明日に臨んだり、自分の夢を具体的にしたり、悩みの答えを探したり、リラックスしたり、そんな「クリエイティブリトリート」体験をしていただけます。
もうすぐ、ホームページやクエスト関連のSNSで正式発表をしますので、楽しみにお待ちくださいね。
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