● レジリエンス
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私たちひとり一人の中には、このような逆境や困難に出会ったときに、そのような状況から立ち直っていく力や柔軟性があると言われています。
こういった力のことを「レジリエンス」と言い、昨今メディアでもよくつかわれるようになりました。
とはいえ、迅速に手を差し伸べる他者からの支援は不可欠です。
私たちはかつて、
2000年大みそかの世田谷一家殺害事件後の地域児童やご家族へのサポート、
2004年10月の中越地震後の、小千谷市で園児を対象とした支援活動、
さらには、2011年東日本大地震後の福島県広野町での子どもたちへのサポート活動などで、アートセラピーによる支援を行ってきました。
多くのボランティアの方々と協力して携わらせていただきましたが、やはり被災された方がの持つ自らを回復させていく力に心を打たれたことが何度もありました。
● 支援
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心理支援は後回しになりがちですが、物資などの支援と同様にとても重要なものととらえています。
日本人の多くは、「人に迷惑をかけず、できるだけ自分の力で」と考える方が多くいます。
特に心理面では、ひとりで抱え込んでしまう方が目立ちます。
カウンセリングや様々な相談活動のボランティア経験のある方は感じるでしょうが、「私は大丈夫だから」と物資面のサポート以外は断られることが多いのです。
ただ、「アートを使う」私たちの活動は、表立った心理サポートというよりは、気晴らしにつながるような印象があるようです。
クレヨンや粘土と言った子どものころに使った素材は、
実際に手で触れてみると、子どものころを懐かしむこともできるため、
気軽に触ってもらうことができるようです。
● 子どもたちから大人へ
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東日本大地震の際は、とあるホテルのロビーを長期間お借りして、子ども村を開設させていただきました。
子どもたちが落書きをするようにアートを楽しんでいるうちに、「私もいいですか?」と、少しずつ大人の方々が参加し始めました。
作品作りをするというよりも、アート素材に触れているだけで、気持ちが整ったり幼い頃を懐かしんだりしているうちに、こころが整っていくのです。
アートによる支援活動は、非言語的アプローチと言われ、つらい気持ちを言葉で伝えることなく、ごく自然にアートで表出することができます。
これは、アートセラピーというアプローチの持つ大きな特性です。
「そのことを語る」のではなく、それを「アートで表現する」のでもない。
ただ、クレヨンや粘土を触っているだけで、それらの素材が内的なストレスを外に連れ出してくれるのです。
私たちは、それを見守り、時には一緒にアートを楽しみます。
終わった後の、すっきりとした様子に何度も私たちは癒されました。
● スキルではなく体験を
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心理支援のためにカウンセリングやセラピーを学ぼうとしている方は多くいらっしゃいます。
でも、その前に、自分自身でその経験をしておくことも大切です。
自ら体験して初めてわかることがたくさんあるでしょう。
自分の資質を活かすためにも、あなた自身を表現するアート体験をしてみてはいかがですか?
2024年が、あなたにとって良い年となりますことをお祈り申し上げます。
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