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miraisozojuku

2019年5月号

令和の時代が始まりました。

まだ耳慣れないものの、この元号が不思議に心にやさしく響きます。

新天皇や皇后さまが、災いや苦しみばかりではなく、

国民の喜びや幸せに寄り添うことのできる時代であってほしい。

ゴールデンウィークの始まりの雨が、次第に五月晴れになったように。


 

● 理論派と直感派

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先日、六本木のサントリー美術館で開催されている展覧会に行ってきました。

「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」

と題されていて、このタイトルに惹かれて

普段はあまり縁のない六本木を訪れました。

まず、あなたは自分を「理論派」であると思いますか?

それとも「直感派」と思っていますか?

日本の美、を右脳で楽しむ自分がいるのか、左脳で楽しむ自分がいるのか、

ひとつの展覧会で、二つの味わいがある興味深い企画でした。

主に、男性脳は理論をつかさどり、

女性脳が感情をつかさどっていることは周知されていることですね。

だからといって、男とは、とか、女とは、と簡単にくくれるわけではありません。

男であっても、女であっても、私たちの内側には両方の機能が存在していて、

主にどちらが優先されて使われているのかによって、

その人の個性が創り出されているのです。


● 二つの道

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開場に入ると、係員から説明があります。

「白い入り口と黒い入り口のどちらかを選んで、またここに戻ってきてください。

戻ったら、もう一方の入り口から入ってお楽しみください」

何やらゲームに参加するようなワクワクした気持ちになりました。


一つのアートを、二つの側面から鑑賞する。

今までに経験のない、鑑賞の仕方です。

私は、黒い入り口から。

作品は、室町時代のものから、新しくても100年以上前のもの。

銘のあるものもあれば、無名のものもある。

香合、香炉、香枕など、蒔絵が施されているものや、茶碗や重箱など。

一切の解説もなく、その作品と、その作品を鑑賞するための小さな窓があるだけ。

必然的に、その作品だけと向き合うことのできる展示。

混雑しているため、あまり長くは一つ所にとどまることはできませんでしたが、

視覚が制限されるため、かなり集中して鑑賞することができました。

そして、もう一方の白い道からは、

その同じ作品を、研究書とも思われるほど詳細な解説が壁一面に描かれている。

ものすごい情報量で、これはこれでまた一つ一つを鑑賞するのに時間がかかります。


● 岡本太郎と本庶佑

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岡本太郎の本を何冊か読んだことがあります。

『今日の芸術』は、セラピスト必読本だと、私は思うのですが、

その中に、美術館での彼独特の鑑賞法が書かれているのを思い出します。

一つ一つの作品を観る前に、

誰が描いたのか、タイトルが何かを先に見てから絵を見るのではなく、

作品を横目に歩いて、心に響いた作品の前でただそれを味わう。

岡本太郎は、そうやって、自分の軸を創り続けていたのでしょうか。

情報は、外からやってきますから、どうしてもその情報に影響されてしまいます。

真実かどうかわからないものほど真実味を帯びていて、

インターネットの時代では、真実であるかどうか以上に、

その情報によって人の心が影響を受けてしまいます。

見聞を広めるのは大切なことではあるけれど、それを自らの体験のないままに

本当だと思い込むことに警鐘を鳴らす人はたくさんいます。

昨年のノーベル医学賞・生理学賞を授与された、本庶佑さんも

こんなことをおっしゃっていました。

「人が言っていることや教科書に書いてあることを全て信じてはいけない」

「定説を覆すことで新たな世界が広がる」(*まるちょん名言サイトより)


● だからこそのバランス

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結論として、理論か直観か、ということではありません。

現代を生きる私たちの日常には、どちらも欠かせないのです。

ただ、どうしても理論に偏りがちな日常の中で、

自分の軸を持っていきるためには、自分の意志や感情、直感を

無視してはならないということなのです。

令和の時代が、どんな時代になるのか、ではなく、

どんな時代を作り出していくのかは、私たちにゆだねられています。

だからこそ、理論と直感のどちらもバランスの取れた時間を

過ごせることを願うばかりです。

願わくば、バランスの取れた時代になるといいですね。

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